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子宮肉腫とは:子宮筋腫との違い
子宮肉腫とは、子宮にできる悪性の腫瘍(がん)です。子宮肉腫は、稀な病気で、日本での発症数は年間約800人程度しかいません。そのため、一般の産婦人科では、子宮肉腫を判断できないこともあります。
なお、子宮がんと子宮肉腫とは、次のように異なります。
子宮がん | 粘膜や粘膜上皮と呼ばれる、臓器の表面に近い細胞が悪性化したもの |
子宮肉腫 | 上皮でない組織が悪性化したもの |
悪性の腫瘍である「子宮肉腫」は、良性の腫瘍である「子宮筋腫」と同じように、子宮の筋肉層にでき、自覚症状も、子宮筋腫と同じです。また、エコー(超音波検査)やMRI検査でも、子宮筋腫と子宮肉腫は判別が難しいため、子宮肉腫は見つけにくい面があります。
子宮肉腫か子宮筋腫かの判別には、手術で切り取った患部を顕微鏡で調べて、核分裂がいくつあるかで、確定するしかありません。そして、核出した筋腫が病理組織検査で子宮肉腫であると分かったら、再手術をして子宮を取ります。子宮肉腫は、放射線や抗がん剤が効かないと考えられている病気なので、手術するのが一般的です。放射線や抗がん剤を使うとしても、子宮肉腫が転移したり、再発したりしたときのみ使用します。
子宮筋腫は、良性で成長速度が遅く、転移もないため、生命を脅かすことはありません。また、子宮筋腫は、女性ホルモンの影響で大きくなるため、閉経後は、小さくなることが多いです。
しかし、子宮肉腫は、悪性で成長速度も早く、多臓器への転移も速いため、生命にかかわる疾患です。また、閉経後でも、急に大きくなるため、そのまま放っておくと危険です。